DELTAでは、展示企画案公募を経て、今年4月に3人の写真家を採択し発表しました。
今回は、その採択者の一人、中村紗央里が、個展「流れ着いた先」を開催します。
中村の作品は、過去に撮りためていた写真と、海や川で拾った石や流木を組み合わせてできています。拾った石や流木は、写真の中の風景とは全く異なる時間を漂い、流れ着いたものです。時には石や流木は着色され、写真の中の色彩と響きあいます。しかしそれでも拭いきれない物質としての違和感に、観客の目は作品のどこにピントを合わせたら良いか、と戸惑うかもしれません。
今回中村は、奥行きを錯誤させるような写真作品をさらに空間へと展開したインスタレーション的展示を構想しました。
流木が大きく前に迫り出した作品、それを再度写真に撮り直した作品などが、横幅約6メートルの屏風のような背景写真の上に配置されます。中村の展示は「不自然」なはずなのに「自然的」世界だといつのまにか受け入れている、そんな不自然な自分に気づかせてくれます。
中村紗央里
1985年千葉県生まれ。主なグループ展に、2013年NTMY EXHIBITION (61NOTE GALLERY/台北、KATA GALLERY/東京) 2015年HUNGRY LIMITED EDITION (tokyoarts gallery/東京、ozasahayashi_project/京都)2020年izumi展 (maison de たびのそら屋/新潟) 2021年エックス展 (長岡美術センター/新潟)など。