21世紀最初の四半世紀が終わった現在、私たちは幾重にも重なる危機と加速度的な変化、そして分断された視点によって形づくられた世界を生きています。そこで自らの立ち位置を理解することは、かつてなく困難であると言えます。
そのような時代において、他者がどのように世界を見ているのかに注意を向けることは、ますます重要ではないでしょうか。写真は長らく、世界を観察するための手段であり続けてきました。しかし同時に、それぞれの人がまったく異なるかたちで世界を経験していることをもみせてきました。あらゆるイメージは、ある固有の「ものの見方」によって形づくられているからです。
KYOTOGRAPHIE 2026では、多くの来場者がフェスティバルテーマ「EDGE」をめぐる作品と出会いました。本展が眼差しを向けるのは、その作品そのものではなく、それらを見つめた人々の存在です。ここに集められているのは、無数の個人的な遭遇の痕跡です。それらはひとつの均質な観客像ではなく、同じ空間の中に共存する多様な視点を浮かび上がらせます。そして私たちに、理解とは合意が前提とされる「中心」からではなく、異なる経験や視点、異なる見え方が交差する「縁(EDGE)」から立ち現れるのだということを思い出させます。
社会の分断が深まり続ける現在において、ここにある注意深いまなざしや好奇心、そしてささやかな交流の瞬間は、新たな問いが生まれる場所を示しています。そこでは確かだと思われていたものが揺らぎ、異なる可能性の輪郭がが束の間、立ち現れるのです。
▍山内 浩|Hiroshi Yamauchi
1974年大阪生まれ。1993年渡米、1998年アラスカ州の日刊紙アンカレッジ・デイリー・ニュースで写真家としてのキャリアをスタート。2006年帰国しフリーランス活動を開始。時事メディアを中心に国内外の媒体に掲載。2017年よりKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭のコアスタッフとしても活動。
▍展覧会概要
山内 浩|Hiroshi Yamauchi
「KYOTOGRAPHIE Inside-Out 2024」
2026年6月3日(火)- 8月30日(日)
休み:月・火曜日
時間:11:00–18:00(金・土曜日は21:00まで)
会場:DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space
(602-0826 京都市上京区桝形通寺町東入三栄町 62)