DELTA / KYOTOGRAPHIE Permanent Spaceではイベント、ワークショップ、教育イベントなど、活発で多面的なプログラムを提供する「DELTA Académie」を開催いたします。
今回は、芦髙郁子氏をお迎えし4回の連続講義を行います。誰しもがスマートフォンでいろいろな「モノ」を撮影できるようになった現在、あらためて近代日本写真史を紐解きながらその時代の写真家がどのように「モノ」を捉え、表現してきたのかを知ることで、「モノ」の写真が氾濫する現代を見つめ直すことが出来るのではないでしょうか。
▍趣旨
ふと目に入った日常の「モノ」にレンズを向ける、カメラを手にしたことのある人であれば、誰しもが経験したことが ある行為。SNS が普及した現代、カメラからスマートフォンへ、撮影するという行為はさらに一般的になり、「モノ」を撮影した多くの写真が、世界中に溢れています。
本講義では、近代日本写真史を概観しながら、近代日本において「モノ」を撮影するということが、写真家の表現や意図において、いかにその役割を果たしてきたのか。そして私たちの社会にいかに影響を与えてきたのかを考えてゆきたいと思います。(芦髙郁子)
▍近代日本写真史を通してみる「モノと写真」
参加費 (各回):対面参加 1,000円(1ドリンク制)/オンライン参加1,500円
申込先:こちら
会場:DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space
(602-0826 京都市上京区桝形通寺町東入三栄町 62)
* 1回のみの参加も可!
▍概要
⾼⼭正隆《静物》、1920-1929年頃、ゼラチン・シルバー・プリント、188×196mm
第1回
静物写真における叙情性とデザイン・アイ 芸術写真の時代
日 時 :2024年5月6日(月)19:00–20:30
参加費 :対面参加 1,000円(1ドリンク制)/オンライン参加1,500円
明治から大正にかけての日本では、写真に芸術性を求めるアマチュア写真家らを中心として、多くの絵画的な写真が制作された。いわゆるピクトリアリズムと呼ばれる写真動向において、一部の芸術写真家らは、静物写真に叙情性を重視し、一方でマッスとラインといった構成的な表現を深化させてゆく。近代の芸術写真家らの作品と言説から、彼らが「静物」をいかに捉え、撮影してきたか、検討する。
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小石清《クラブ石鹸》、1931年、ゼラチン・シルバー・プリント、220×284mm
第2回
即物という視点 新興写真の時代
日 時:2024年6月23日(日)19:00–20:30
参加費 :対面参加 1,000円(1ドリンク制)/オンライン参加1,500円
1930年前後から、カメラやレンズによる機械性を生かし、写真でしかできないような表現を目指した写真が盛んとなる。これらのいわゆる新興写真は、ドイツの新即物主義(ノイエザッハリヒカイト)に影響を受けており、クローズアップや俯瞰を駆使した表現が特徴。新興写真のリアリスティックな視線は、広告写真や報道写真にも影響を与えることとなる。本講義では、モノを克明に捉え、独自の感性で表現した新興写真の作品や、初期の広告写真、報道写真から、モノと写真のあり方を概観する。
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大辻清司《からみのオブジェ》、1949年、ゼラチン・シルバー・プリント、215×301mm
第3回
オブジェと写真 前衛写真の時代
日 時:2024年8月4日(日)19:00–20:30
参加費 :対面参加 1,000円(1ドリンク制)/オンライン参加1,500円
1937年、「海外超現実主義作品展」が開催されたことによって、全国で写真を使った新しい表現に挑む前衛写真が盛んになる。前衛写真家らは、「モノ」を有効的に組み合わせ、幻想的な世界を作り出した。シュルレアリスムに影響を受けた戦前の前衛写真家らの作品と言説を通して、彼らがいかにモノを捉え、それを表現として昇華したのかを概観する。
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第4回
モノと写真 近代と現代
日 時:2024年 9月22日(日)19:00–20:30
参加費 :対面参加 1,000円(1ドリンク制)/オンライン参加1,500円
ゲスト:荒井保洋氏
これまでの講義をまとめ、近代日本における「モノ」と写真の関係を考察する。そして、「モノ」を写すことを重要なコンセプトとして、表現をおこなう現代の写真家の作品を写真集を通して紹介する。
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▍講師
芦髙郁子|Ikuko Ashitaka
1991年、奈良生まれ
滋賀県立美術館学芸員
専門は近代日本写真史
京都工芸繊維大学工芸科学研究科デザイン学専攻博士後期課程単位取得満期退学。
写真やデザイン関係の展覧会の企画、執筆を行なう。
企画した展示として「ATGの映画ポスター」展(京都工芸繊維大学美術工芸資料館、2022年)、「今森光彦 里山 水の匂いのするところ」展(滋賀県立美術館、2023年)、「BUTUDORI展(仮)」(滋賀県立美術館、2025年1月開催予定)。